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身体リテラシーに着目して ~2019年を振り返る~

TEAM BISON’S by SENSHU-UNIV.の今年1年の活動が終わりました。大きな怪我もなく今年1年を終えられたことは、普段支えてくださる保護者の皆様や、マットに立って子どもたちの相手をしてくださる保護者コーチの皆様のおかげであると感じます。今年1年、本教室に関わってくださいました皆様には心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

本教室では2013年から大会結果を蓄積しております。年度の推移から、2017年から金メダル獲得数が増加していることがわかります。大会レベルや組み合わせ、対戦相手も関係することから単純比較はできませんが、金メダル獲得数が増えていることは、選手や保護者の工夫や頑張りがあってこその結果だと思います。

2019年までは大会結果のほかに、発育発達期における子どもの体力・運動能力に着目し、レスリングの専門的トレーニングの影響を考察してきました。日本陸上競技連盟(2018)によれば、スポーツは人間の生涯にわたる身体活動の基盤となる「身体リテラシー(身体の賢さ)」を育むと言われています。「身体リテラシー」とは、さまざまな身体活動、リズム活動、スポーツ活動などを自信をもって行うことができる基礎的な運動スキルおよび基礎的なスポーツスキルです。身体リテラシーには、運動を楽しく、有能感をもって意欲的に行えるといった心理的(内的)な側面も含まれます。身体的能力の認知が高いほどスポーツ活動に寄与し、有能感がスポーツ行動に大きな影響を及ぼすことがわかっています(伊藤,1987)。加えて、身体的有能感の高い生徒の態度は低い生徒のそれよりも、有意に高い傾向を検出したことも報告されています(北ほか,1995)。運動有能感とは、予測不能な状況や環境の中で、自信を持って積極的に対処できる能力(岡沢ほか,1996)であり、有能感は、継続や次の課題にチャレンジするための心のエネルギーになります。これらのことから、2020年からは身体リテラシーに着目し、中でも、子どもたちの内面にある運動有能感の向上や、他競技や一般の小学生との比較なども検討し、レスリングに取り組む子どもたちの心理的な部分も明らかにしていきたいと考えております。

 

2020年も引き続き、どうぞよろしくお願い致します。

参考文献

日本陸上競技連盟(online)JAAF競技者育成指針,https://www.jaaf.or.jp/development/model/(参照日:2019年12月25日)

伊藤豊彦(1987)原因帰属様式と身体的有能さの認知がスポーツ行動に及ぼす影響-スポーツ行動に関する原因帰属モデルの検討-,体育学研究,31(4),263-271

北真佐美・岡沢祥訓・森田美穂子(1995)体育授業における生徒の身体的有能感と授業評価との関係,奈良教育大学教育研究所紀要,31,15-23

岡沢祥訓・北真佐美・諏訪祐一郎(1996)運動有能感の構造とその発達及び性差に関する研究,スポーツ教育学研究,16(2),145-155